森林浴+人間ドック 首都圏から利用者急増...長野

 北陸新幹線の金沢延伸で長野県内五つ目の新幹線駅ができる飯山市で、人間ドックに森林浴やヨガなどを合わせた「医療ツーリズム」が、首都圏在住者に人気です。延伸から1年間の利用予定者は、すでに前年の2倍に達しています。

 人間ドックを行う飯山赤十字病院は、飯山駅から200メートルの好立地にあります。ドックは2日間の日程で行われ、1日目の午前中は血液検査や胸部レン トゲンなど所要の健診を実施。2日目の正午頃に医師から結果の説明を受けるまで、様々な自然体感メニューを用意しているのが特徴です。

 宿泊は、森林に囲まれたコテージやホテルから選べます。2日目の午前は、森林浴、森林の中でのヨガ、ストックを使って歩く「ノルディックウォーキング」の3種類から好きなメニューを選びます。一部の宿泊施設では天然温泉も楽しめます。

 森林浴ができる5~11月限定で、1日最大2人、年間約200人の受け入れが可能です。今年の予約は45人で、昨年(22人)の2倍に当たり、6割強が首都圏の在住者といいます。

 延伸後、飯山は東京と最短1時間39分で結ばれます。東京駅を午前7時52分に出発すれば、同9時40分の健診開始に間に合います。古川賢一病院長は「新幹線開業による時間短縮効果を生かそうと考案したが、1年目から予想外の効果だ」と驚いています。

 料金は1人約5万円。14年からは、市の「ふるさと納税」で10万円以上納めた人への特典としたこともあり、注目度が増しています。

  市の人口は2月2日も日現在、2万1759人。ピーク時(64年)の半分近くに落ち込んでおり、人口流出が続きます。「医師の増員や機器購入など病院の負担はなく、病院としても地域の活性化に積極的に協力できる」と古川病院長。現在、人間ドックと提携する宿泊施設を増やし、コースの魅力を高めようとしています。

 ◆森林セラピー いち早く推進

  飯山市は、周辺に広がるブナやスギの里山に注目し、森林浴で健康増進を図る「森林セラピー」をいち早く推進してきました。延伸開業の14日には、飯山駅に野外活動の拠点となる「信越自然郷アクティビティーセンター」ができ、アウトドアの聖地としての魅力を1年を通し発信していきます。

 飯山市は06年、全国に先駆け、国土緑化推進機構から「森林セラピー基地」の認定を受けました。人間ドックとセットになった森林ヨガは、その頃から提供されてきたメニューです。

 市内の拠点の一つ「なべくら高原・森の家」では冬場は、スノーシュー(かんじき)を着けて森林の中を歩くツアーが盛んです。2月下旬、母親と参加した都内在住の会社員中沢万里子さんは「延伸後は手軽に来られるようになる」と満足そうに語っていました。

  開業を見据え、飯山市は13年から周辺の8市町村と連携し、飯山駅からの20キロ圏内を、信越自然郷として売り出してきました。志賀高原を抱え、「スノー モンキー」で外国人観光客が増えている山ノ内町や、妙高高原のある新潟・妙高市などが入っており、周遊観光が飯山駅を起点に広がる可能性があるからです。

 新潟・長野県境にそびえる関田山脈沿いには08年に全長80キロに及ぶ遊歩道が整備されました。地元の観光関係者は、首都圏や北陸方面からの誘客につなげようと、さまざまなツアー商品の開発に力を入れています。

読売新聞

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