南太平洋のバヌアツを直撃した大型サイクロン「パム」 で、国連人道問題調整事務所(OCHA)は16日までに24人の死亡が確認されたと発表しました。首都ポートビラには各国からの救援チームが到着しているが、 多くの島では通信網が断たれ、3日たった16日現在も被害の全容は分かっていません。【写真はCNN】
パムは13日から14日にかけて、80あまりの島々から成るバヌアツを縦断しました。16日に首都ポートビラに入ったCNN取材班は、100人以上が避難する教会や、樹木が真っ二つに裂けたり葉がなぎ払われたりした渓谷などの様子を目の当たりにしました。
ポートビラに住む男性は、河川が氾濫して近所の教会の塀を押し破り、自宅に泥水が押し寄せたため、13日深夜に暴風が吹き荒れる中で避難を余儀なくされたといいます。腰まで水に浸かりながら高台にたどり着き、停めてあったワゴン車に避難。家族は事前に市内の避難所に逃れていたため無事でした。
15日にはがれきと化した自宅の上に一時しのぎ用の小屋を建てたが、一家の食事は友人からもらったバナナ1束のみ。娘は泥の中からシャツ1枚を掘り出した。一帯に住む住民もみな、同じような状況にあります。
災害対策当局によると、ポートビラで16日までに確認された負傷者は30人。それ以外の地域や島での死傷者数は分かっていません。
ロンズデール大統領は、同国史上最悪の被害が出ており、復興に数年はかかるとの見方を示しました。
ポートビラだけでも数千人が自宅を失い、自給自足に頼ってきた多くの住民は畑が押し流されて食料の調達も難しくなりました。
それでも首都周辺では復興に向けた兆しが見えつつあります。電力や水の供給はストップしたままだが、散乱した樹木やがれきを片付ける作業も始まりました。一帯にはチェーンソーやのこぎりの音が響きます。
空港も営業を再開し、救援チームや救援物資を積んだオーストラリアやニュージーランドの軍用機が到着。被災後初めてとなる商用機も16日に着陸しました。
一方、周辺の島々の被害状況は依然として把握できていません。国際援助団体CAREインターナショナルの担当者は「とてつもない打撃を被っているのは確実で、ひどく憂慮される」と話し、同日中にも南部の島に救援チームを派遣したい意向だと語りました。
赤十字などは、被災者のための水や食料、避難所が不足しているとして、各国に支援を呼びかけています。
(CNN)