航空業界でバイオ燃料導入への取り組みが世界的に進んでいます。航空輸送量が増え続ける中、欧米ではCO2排出量を減らそうと植物などが原料のバイオ燃料を使った旅客便も飛び始めていますが、日本では試験的な飛行が3回実施されただけです。「世界の流れに取り残されかねない」との危機感を背景に航空関係者の模索が続いています。
原油からではなく、植物や食品廃棄物など生物資源から作られるのがバイオ燃料。燃焼後にCO2が出るのは同じだが、バイオ燃料を使えば排出量が減少するのは、原料の植物が成長過程で吸収するCO2と相殺できると考えられているためです。
このメリットを生かそうと、世界の航空業界の動きは活発です。ドイツ・ルフトハンザ航空は2011年、従来のジェット燃料とバイオ燃料を同じ割合で混ぜた燃料を使った旅客便をドイツ国内線で半年間運航しました。さらに今年3月から1年間、ノルウェー・オスロ発のグループ便約5000便で本格的に混合燃料を使います。 米ユナイテッド航空も今年、ロサンゼルス発の便に混合燃料を使います。
ですが、日本の航空会社の動きはいまひとつ。日本航空が09年、全日本空輸と日本貨物航空が12年に、乗客や貨物を乗せない飛行を1度ずつ実施しただけ。 ある関係者は「近い将来、日本の空港でもバイオ燃料の給油を求められるかもしれないが、取り組みは遅れている。このままでは世界の流れから置き去りにされ てしまう」と懸念を示しました。
(サンケイビズ)