地球温暖化防止のため滋賀県が進めている温室効果ガス削減の取り組みが、国内の原子力発電が停止している影響を受け、目標達成の道筋が不透明に なっています。「原発に依存しない新しいエネルギー社会」を目指す県政の方針もあり、削減目標と原発依存度の整合性も問われています。
最新の排出量データは2012年度の1422万トン(CO2換算)で、3年連続増加しました。30年度に1990年度比50%削減する県の目標に対し、10年ぶりに超過に転じて6%も上回りました。福島第1原発事故以降、発電の主力が原子力から化石燃料を使う火力に移り、同じ発電量でも排出量が増えたのが要因です。
県の削減目標は原発事故前の2008年に打ち出され、福井県内の原発の稼働を前提としていました。現状は関西電力高浜原発3、4号機以外、再稼働の見通しがなく、当面は排出量が減少に転じる可能性は小さいようです。
県議会では目標の見直しや原発に依存しないための行程表を示すべきとの意見が出ています。ただ、国が原発を含む将来の電源構成の比率や温室効果ガスの長期的な削減目標を検討している段階のため、県は「50%削減目標の重要性に変わりなく、国の動きを十分注視する」と慎重に構えます。他府県でも排出量の公表方法や目標設定をめぐり試行錯誤が続いています。
(京都新聞)