オーストラリア 再生エネから火力へ政権交代で大転換

 オーストラリアが推進していた再生可能エネルギー政策が、2年前の政権交代で180度転換し、先行き不透明になっています。「石炭派」のアボット首相のもと、温室効果ガスの削減目標の下方修正は必至。風力などの大型プロジェクトで投資引き揚げも相次ぎます。

 首都キャンベラの連邦議会から約60キロ。眼下に牧場が広がる丘で、強い風を受けて3枚羽根のタービン67基が回っています。風力タービンメーカーの豪州センビオン社が2009年に操業を始めた最大出力13万キロワットの風力発電施設です。

  「クリーンエネルギーの普及で地球温暖化を止めようと努めてきたのに、今になって汚れたエネルギー支持へ政策を変えるなんて、時代に逆行している。先が見えない中で投資家は離れ、企業も次々に撤退している」。同社のクリス・ジャド最高経営責任者は表情を曇らせました。

 2年前の総選挙でアボット首相率いる保守連合が政権に就いて以来、豪州の再生エネルギー政策は一変しました。政権は、温室効果ガスの削減目標設定や炭素税の導入など、「CO2嫌い」だった前労働党政権の路線を転換。各種のクリーンエネルギー政策を相次いで廃止し、気候変動関連組織の解体にも動きました。

  昨年には、再生エネによる発電を「20年までに全発電量の20%か、年間410億キロワット時にする」などと掲げた「再生エネルギー目標(RET)」の見直しも表明。正式な数値はまだ提示されていないが、再生エネによる発電量を一気に4割近く減らして「年間260億キロワット時」を目指すとみられています。 12年度の年間325億キロワット時(小規模発電を含む)をも下回るレベルです。

 野党・労働党の影の内閣で環境・気候変動・水問題の担当大臣を務める労働党のマーク・バトラー下院議員は「アボット政権の愚かな政策転換で、国際的にクリーンだった豪州のイメージが台無しだ。260億ワット時では話にならない」と語ります。

朝日新聞

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