地球温暖化がここ数年そのペースを緩めているのは、深海が熱を吸収しているからではないとする論文が、6日の英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載されました。
NASAによると、21世紀初頭に温室効果ガスが増え続けている一方、平均地表気温の上昇は停滞しています。一部研究では、熱が一時的に深海に吸収され、「ハイエイタス」と呼ばれる地球温暖化の停滞現象が起きているとされていました。
今年8月には、過去15年にわたるハイエイタス現象について、大西洋や南極海の深海に熱が吸収されているとする別の論文が、米科学誌サイエンスに発表されていました。
ですが今回の論文によると、2005年~2013年にかけて収集された人工衛星からのデータおよび海洋での水温計測によると、水深1995メートル以下の深海では目立った水温の上昇が見られないことが判明しています。
この結果は科学者に新たな疑問を投げかけるものとなりました。それでも論文の共同執筆者の一人で、NASAのジェット推進研究所のジョシュ・ウィリス氏 は、気候変動が現実に起きていること自体に疑いはないとしながら、「海面はいまだに上昇しており、一連のデータを理解するために研究を続けている」と述べ ています。
NASAの研究者らによると、今回の調査では、海洋の水温を直接計測するだけでなく、人工衛星による観測も初めて取り入れたといいます。
(AFP)