イギリス政府は、2005年からEUで実施されているキャップ・アンド・トレード方式の排出量取引制度(EU-ETS)の大幅改革を要請しました。
同国は、2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減することを目標とし、その主要ツールとしてEU-ETSを活用してきました。
EU-ETSでは、重工業や電力部門の企業は炭素削減への投資もしくは排出権の購入を選択できますが、現在、経済不況など様々な要因により、EU-ETSでは市場で20億トン以上の余剰クレジットが生じています。
同国政府は、このままでは長期目標達成に必要な低炭素投資が進まないとし、費用効果的な排出削減、革新的な低炭素技術への投資促進、国内産業の競争力維持に向けたEU-ETSの改革案を提示しました。その主な内容は次の通りです。
- 2020年までに余剰排出枠を取消し、需給バランスを回復させる。
- 排出枠の無償割当を見直しする。
- 不必要な形式的手続きを排除し、公正さ・費用効果・簡素さのバランスを向上する。