JX日鉱日石開発は15日、米国で古い油田に残った原油を回収する事業を始めると発表しました。石炭火力発電所が排出するCO2を集めて油田に注入することで、噴出力が落ちた原油を取り出します。2016年末の運転開始を目指すそうです。
第1弾のプロジェクトの総事業費は10億ドル。米電力大手のNRGエナジーと折半出資する合弁会社が事業を担います。JX開発が持つ油田の権益は25%。CO2回収設備は三菱重工業が建設するとのこと。
NRGエナジーの発電所から年間160万トンのCO2を回収し、パイプラインを通じて約130キロメートル離れた油田に運びます。油田は約70年前に発見さ れ、生産量が1日500バレルに落ち込んでいます。CO2の注入で生産量を同1万2000バレルに拡大。10年間で6000万バレルの産出を目指すそうです。
油田がある地層にCO2を注入すると地中の圧力に変化が起きます。圧力変化の結果、散らばっていた原油が集まるため取り出しやすくなるそうです。
この油田の周囲には自噴量が低下している古い油田が数百あり、合計170億バレル程度が今後も取り出し可能とみられています。JX開発は温暖化対策と原油増産を 両立できる技術として、CO2の回収先や油田の権益の拡大を目指し、20年に同事業で年間300億円程度の経常利益を見込んでいます。
(日経新聞)