地下深くの岩盤に含まれるシェールガスを採掘する際、CO2を岩盤に注入する基礎技術を京都大の研究チームが開発しました。
CO2を地下貯留できる可能性もあり、新たなエネルギー資源の確保と合わせて「一石二鳥」の効果が期待され、数年後の実用化を目指しているそうです。【図表は読売新聞】
シェールガスは地下3000~5000メートルにある「シェール(頁岩)」に含まれるメタンなどの可燃性ガス。
現在北米で主流なのは、硬い岩盤に高圧のフラッキング水を注入して割り、噴出するガスを回収する方法。注入する水分には、数%程度の砂、酸、防腐剤、ゲル化剤、摩擦低減剤などの化学物質が含まれています。
フラッキング水を用いることで、周辺の水不足、地下水の汚染など既に顕在化した問題も発生しています。
今回は、このフラッキング水に変わってCO2を用いる技術とのことですが、京都大の研究チームによる と、31.1度以上に温め73気圧以上の圧力をかけ、液体と気体の中間の「超臨界」という非常にさらさらな状態にしたCO2を岩盤に注入すると、水の場合より広範囲にきめ細かいひび割れができることを確認したそうです。
さらにCO2はシェールガスの主成分メタンより頁岩に吸着 しやすいため注入分の多くを地下貯留することも可能です。
国内には有望なシェールガス層がなく、海外への技術輸出を検討しているそうで、英国やポーランドなど、シェールガス開発や地球温暖化問題に関心が高い国から問い合わせが寄せられているといいます。
京都大学石田教授は「水が貴重な砂漠でもガス田開発が可能。未来のエネルギーを支える技術として実用化させたい」と話しています。
(読売新聞)