農作物の害虫・疫病、温暖化で高緯度へ拡大

 英エクセター大学の研究チームが、農作物に害を及ぼす昆虫、バクテリア、菌類、ウイルスなどは、地球温暖化の影響で毎年ほぼ3キロずつ南極や北極の方向へ移動していることが分かったと発表しました。今月1日、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジに研究論文が掲載されました。

 研究チームは、2つの大規模なデータベースを詳細に調査し、農作物の害虫と疫病612種類がこれまでに発生した緯度と日付をまとめました。

 その結果、これら害虫・疫病は1960年以降、毎年約2.7キロのペースで北や南へ向かって移動していることが分かりました。害虫・疫病は、気温上昇とそれによる地域の気候への影響によって生息が可能となった土地に移動します。地球の地表温度は過去50年にわたり、10年に平均0.12度の割合で上昇しています。

 熱帯諸国より高い緯度に位置する国々は、害虫や疫病などの問題に対抗するための資源をより多く保有しており、以前は農業を行うには寒すぎた地域でも、農耕が可能になることが見込まれます。ですが、これらの国々は世界で最大規模の穀物生産国なので、害虫や疫病の拡大は過小評価するべきではないと論文は指摘しています。

 論文の著者の一人、ダン・ベバー氏は「地球温暖化が進むにつれて害虫や疫病が極地方向への前進を続けるなら、世界人口の増加と農作物の損失の増加との相乗作用により、世界の食糧安全保障に深刻な脅威がもたらされる」と述べています。

 害虫や疫病の半数は、農産物の貿易で運ばれるなど人の手によって拡散し、残りの半数は気候によって拡散します。

 最近の例では、森林に甚大な被害をもたらすアメリカマツノキクイムシが挙げられます。この害虫は、温暖化した米国の太平洋岸北西部に新たに生息地を広げました。また、米国でコムギへの脅威として出現した赤カビ病は、温暖で湿潤な気候によって拡散が促進されました。さらに、イネの疫病を引き起こすイモチ病菌は、現在80か国以上に存在し、コムギにも感染を広げています。

(AFPBB NEWS)

ブログランキングに参加しています。よろしければクリックご協力お願いします。

環境ブログへ

トラックバックURL: http://green-plus.co.jp/green-plus.co.jp/mt5/mt-tb.cgi/1603

メルマガ購読・解除 国内外のカーボンオフセットニュース一週間ダイジェストのメールマガジン
読者購読規約を確認

バックナンバー
powered byまぐまぐ!

アーカイブ

Creative Commons License
このブログはクリエイティブ・コモンズでライセンスされています。