太陽光の省エネ船始動 郵船と新日石、電源に初搭載

yusen.gif 日本郵船と新日本石油は19日、船舶を動かすのに必要な電力の一部を太陽光発電で賄う自動車運搬船を完成し、通電式を神戸市で開催した。

新日石が開発した太陽光発電システムを搭載してエンジン制御などの電源に使う仕組みで、大型船舶で世界初の試み。国際海運は温暖化対策の強化を迫られる見通しで、日本郵船は省エネ船舶の開発を加速する。
性能:完成した自動車運搬船「アウリガ・リーダー」は最大6200台の自動車を運搬できる。甲板に太陽光発電のモジュール328枚を搭載し、最大40キロワットの発電量を見込んでいる。初航海ではトヨタ自動車の完成車を中東に輸出する。

太陽電池で発電した電気は440ボルトに変圧して船内の発電系統につなげ、エンジンの制御、離着岸時の横方向への補助推進装置(スラスター)、船倉の換気装置、船内照明などに使う。同船舶の電力の平均0.8%分を賄う計画だ。

今後の計画:日本郵船と新日石は今後、航行する際の塩害、風圧、振動などに対する耐久性や、将来のシステム大型化に向けたデータ収集、CO2の削減効果などを検証する。また、2年後には気象条件が悪い場合や夜間でも使えるよう、電気をためる蓄電池を導入し、太陽光発電の電気を安定供給する体制も整える計画だ。

太陽光パネルを自動車運搬船の甲板すべて(約1700平方メートル)に設置すれば6倍強の250キロワット程度まで拡充できる見込み。自動車運搬船だけでなく、タンカーなどでの導入も検討する。

3社の思惑:今回のプロジェクトは荷主であるトヨタ自動車と、新エネルギー事業を次の成長事業に位置付ける新日石がパートナー。三菱重工業・神戸造船所で開かれた通電式には、日本郵船の草刈隆郎会長と新日石の渡文明会長と、最大荷主であるトヨタの張富士夫会長がそろい踏みし、今回のプロジェクトへの意欲を示した。

草刈会長は「効率性とコストの両面で課題は残るが、拡大・実用化を目指す」と船舶事業の環境対応を強調。郵船は海流を利用した省エネ運航などに取り組んでいるが、自然エネを他のエネルギーの形に転換して使うのは初めて。国内の同業他社には、「効果に乏しい」とやゆする向きもあるが、他社に先駆けて船舶の環境対応でコマを一歩前に進めた格好だ。

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